Ropponmatsu Urban Nature

六本松キャンパスの植物たちブログ篇(新)

中庭の桜

跡地をめぐっての動きが大きくなってきました。
私もメインページのほうでいろいろ書かせてもらっていますが、中庭の大桜と国道沿いの(少し引っ込んでいますが)植樹帯を残していただきたい旨の意見を10月2日の説明会で述べましたので、それにあわせて中庭の桜と植樹帯の紹介をしたいと思います。今回は中庭の桜です。

六本松跡地の国道から見える本館とその奥の1号館との間に中庭があります。この中庭は学生向けの掲示板があり、ここで授業の合間に学生がよくたむろっていました。
この中庭に、桜の木がふたつあります。


どちらもソメイヨシノと思われる、枝振りの見事な桜で、3月終わりから4月はじめにかけて美しい花を見せてくれます。


樹齢は定かでありません。植樹されたのは昭和5年、旧制福岡高等学校の十年記念だったのではないかという説があります。ただ、その通りだとすると80年になるので、実際には一度更新されたのではないかという話を大学関係者から聞きました。少なくとも昭和30年代後半にはこの桜がここにあったようで、そこから考えて50歳は下らないと私はみています。




実は、恥ずかしながら私はこの桜のことをこの取り組みを始めるまで意識していませんでした。見ていたはずなのですが、大学の入学がたしか4月8日前後で1年次には花の頃を過ぎていたのか、また2年次のその時分には新年度の授業がまだ始まってなく私が学校に来ていなかったのか…。私は自分の六本松時代には植物にそれほど関心がありませんでした。この木のそばをいつも通りながら見過ごしてきたのだろうと思います。

この取り組みを始めてすぐに現役の大学院生から、中庭の桜を残してほしいと言われました。毎年花見をしていたとのこと。この花をとりわけお好きな先生が何名かおられ、研究室合同で花見をしていたそうです。実際、2009年3月のありがとう六本松イベントの直後、ここで何人もの先生方が集まって花見の準備をされていました。




この桜、先生方の間ではある先生の名前を付して呼ばれているそうです。ここでは伏せておきますが、たぶんネットのどこかで出ています。



2009年3月に私が呼び掛けたキャンパスお花見でもこの桜を見ました。


来られた方からは「見事でした」という言葉をいただきました。


この桜、先日の「樹木に関する説明会」で、伐採される見通しが明らかにされました。
この一帯(というか跡地の外縁部を除いた内部ほぼ全部)が建物解体の影響を受けるということで、樹木はその状態によって事実上移植か伐採かどちらかの扱いとなり、この桜は枝の剪定に問題があり根も腐朽しているとのことで、伐採に相当する判定を受けました。ただ、仮に現地にこのままの状態で残すなら、20〜30年は大丈夫とも説明されました。



説明会では、地元の方々の残念がる声や、桜だけはなんとか残してほしい(この桜だけではなく)という声が聞かれました。



この写真はいつか出そうと思っていた写真です。私が今年の3月に別事情で手続きをとって構内に入ったときに撮影しました。


跡地には警備員の方々が24時間態勢で詰めておられますが、この花の時にお一人の方が「花も見てもらえないと悲しむんですよ」とおっしゃっていました。誰からも見られずに咲いている構内の花々を日々ごらんになっての思いでしょう。



ここを去っていった方々も、語ることなく思いを寄せていらっしゃるのかもしれません。




九州大学六本松キャンパス跡地 中庭の桜